血糖値の3つの基準値
今回は、「血糖値」についてです。
単純に見えて、意外と奥が深いです。臨床・人体ともに頻出になります。
早速見ていきましょう。
血糖値とは、血液中のグルコース濃度を表します。
血中のグルコースは、脳、神経組織、赤血球へのエネルギー供給に使われます。☆1
食べ物を摂取、消化すると主に小腸からグルコースが吸収されて血糖値は上昇します。☆2
この際、上がった血糖値を下げるためのホルモンである
こうして食後に上がった血糖を下げる働きが人体には備わっています。
しかし、何らかの原因で血糖値がうまく下がらなくなってしまった場合、
血液中には大量のグルコースが巡り続けることになります。
原因としては、インスリンの働きが鈍くなる(インスリン感受性低下)、インスリンの分泌が減少・消失することがあります。
高血糖、もしくは糖尿病(1型、2型)です。
高血糖の状態が続くと、神経に障害が現れます☆4
血液検査では、血糖値の逸脱をみることで、こうした症状も発見することができます。
以下が、血糖値の判定基準です。
①糖尿病型判定 ②メタボリックシンドローム判定 ③特定保健指導判定
3つを紹介します。
①糖尿病型判定☆5
空腹時
126㎎/dl以上→糖尿病型
125~110㎎/dl以上→境界型
109~100㎎/dl→正常高値型
99㎎/dl未満→正常型
②メタボリックシンドローム(高血糖)判定
空腹時
110㎎/dl以上
③特定保健指導判定
空腹時
100㎎/d以上
こうしてみると、①の糖尿病型判定基準をもとに②メタボリックシンドロームが境界型から、
③特定保健指導が正常高値型から要改善としていることが分かります。
②と③の基準値は混同しやすいですが、
メタボリックシンドローム判定は代謝異常症候群の改善(この場合は耐糖能異常)が目的なので、より糖尿病型に近い境界型を用いていて、
特定保健指導は疾病予防が目的なので、正常高値型を用いていると考えれば納得ですね。
基準値を覚えるのはメンドウですが、ほかの情報とリンクさせれば少し楽しくなるかもしれませんね。
それでは、今回はここまでです。以下は補足です。
☆補足☆
☆1
赤血球は成熟の最終段階でミトコンドリアが外れます。
よってミトコンドリアによるATP産生ができないので、グルコースでエネルギーを得ます。
☆2
糖の消化酵素はアミラーゼ(唾液、腸液)、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼ(すべて腸液)です。
☆3
膵臓ランゲルハンス島のβ細胞より分泌。インスリンは体(たんぱく質、中性脂肪、グリコーゲン)を合成し血糖値を下げます。
よって分泌が多すぎると体脂肪増加につながります。
ちなみに、膵臓ランゲルハンス島α細胞から分泌されるのはグルカゴンです。インスリン、グルカゴンともにペプチドホルモンです。
☆4
糖尿病の三大合併症として、腎症、網膜症、神経症が挙げられます。
☆5
空腹時血糖は126㎎/dl~で糖尿病型と判定されますが、それだけで「糖尿病」と診断されるわけではありません。
血糖値とHbA1cの検査結果や体の症状を踏まえ、医師が診断を下します